「2025全国古蹟日」の9月20日の土曜日。
本日最後の目的地は、台湾の内閣府庁舎にあたる「行政院」だ。ここの一般参観受け付けも、さきほどの「監察院」と同じく毎週金曜日だけ。しかも行政院は事前予約制でややハードルが高い。
監察院の正門を出て、目の前の忠孝東路と中山南路の交差点を渡り、向かいの行政院前に行ってみたところ、建物の正面はこちら側だけど、見学の入口が見当たらない。
とりあえず、忠孝東路を敷地の柵沿いに東に歩いていくと、敷地の東端の天津街との交差点手前に参観入口の場所を説明する看板が出ていた。ここで左折して、北平東路手前の天津街2號の門に受付があるようだ。
受付にたどり着くと、こちらでもやはり、身分証を受付に見せて記名。名前を書いたら即入場ではなく、受付の横でしばらく待機。この間に、記念品として行政院本館建物のミニチュアをいただいた。ちょっとかわいい。
ある程度の人数になったら、1グループごとに1人ボランティアガイドが引率に付いて一緒にまわるガイドツアー形式の参観開始となった。グループの後ろには警備員さんも1人ついてくるから、かなりしっかりした体制だ。
最初に向かったのは、受付を出て左側、天津街側の建物。入口に「貴賓室」と書いてあり、中は「行政院珍貴史料展示館」という史料館になっていた。
階段の踊り場に掲げられた「行政院」のプレート。
2階に上がったホールは行政院の歴史を紹介するコーナーで、古い写真屋資料が置いてあり、ガイドさんが詳しく説明してくれた。こちらは行政院本館建物の模型。上から見ると日本の「日」の形をしているのがわかる。
行政院の本館建物の前身は、1941年(昭和16年)に完成した「台北市役所」。
現代主義(モダニズム)建築で、設計は台湾総督府修繕課の井手薰。この方も日本統治時代の台湾でたくさんの官公庁や民間施設の建物を設計した建築家で、中山堂(旧台北公会堂)や南海書院(旧建功神社)などもこの方の設計だ。
「台北市役所」の建物は、1930年代に流行した現代主義(モダニズム)、とりわけバウハウスデザインの影響を受けており、シンプルなブロックと水平を強調した外観をしている。日本統治時代後期の台湾現代主義建築の中でも、最重要の作品のひとつとなっている。
詳細はぜひ、行政院のYoutube解説動画をご覧ください!
昔の映像や写真も出てくるバージョンの動画はこちら(字幕なし)
閑話休題。
次の部屋は、歴代の行政院長の紹介エリア。館内は冷房が効いてるけど、さっきまで溶けそうな暑さの外にいて、見学者みんなグロッキーで、ここのソファに座り込む人多数。私もちょっとだけ座りながら説明を聞いた。
こちらは貴重な文物の展示エリア。円卓があるところからすると、会食スペースだったのかな?
外に出てきたら、また受付の方向に戻って、受付前を左折し手本館建物の裏手にまわる。本館は直線を多用したシンプルな造形だけど、テラスの角が曲線だったり、細かいところがお洒落な感じ。
ガイドさんに示されて建物の足元を見ると、封印された地下への入口が。これは防空壕で、中は結構広いらしい。
そのまま進むと、本館の裏口に到着。普段本館に用事がある人や職員の人はここから出入りする。
入口の右手には、足を洗う流し場があった。同じく井手氏が設計を担当した中山堂(旧台北公会堂)にも同じ設備があったのを思い出した。
こちらは大ホール。前方には小さいステージ。
後方を見ると柱のない広いスペースで、天井と柱が曲線でつながってるのがお洒落。
こちらは1階の「玉山庁」という応接室的なお部屋。行政院長と海外からの来賓との会談などに使われるそうだ。
廊下での見学ポイントは、こちらの上げ下げ窓。軽い力で窓を上げて、任意の位置で止められる。
中庭は緑の憩いのスペース。
続いてまた中に戻り、上の階の院会室。こちらは部屋の外から中を見学。
正面玄関ホールに続く階段を下りる。
踊り場のシャンデリアが豪華。
玄関ホールはシンプル。ここでは外からやってきたグループとすれ違った。どうやらガイドの先生によって見学順は自由にアレンジできるようす。
私たちは、正面玄関から外に出た。(写真が斜めってしまったわ。汗)
行政院の本館外観。こうしてみると、確かに中山堂と似てるかも。
ここからは屋外スポットの紹介。玄関を背に右に曲がって、中山北路側の端に向かうと、緑の植栽コーナーがある。植え込みのそばに置かれた四角い石は「雪山隧道貫通石」といって、新北市と宜蘭県を結ぶ雪山トンネルを掘削した際に、最後の貫通部分の岩だそうだ。そしてこの石には、触れると開運や子宝の御利益があるとか。ガイドさんに促されて、参加者一人ずつ石に手を置いた。なんかいいことあるかしらん?
そして最後は、1947年に勃発した「二二八事件」の解説プレート。2月27日に闇タバコ摘発事件が発生した翌日28日に台湾人の民衆が国民政府に対する抗議デモを行い、デモ隊が行政長官公署広場、現在の行政院に到達した時に、衛兵がデモ隊の民衆に対して発砲、多くの死傷者が出たのが、まさにこの辺りなのだそうだ。
今回は私たちは見に行ってないけれど、門の外や天津街側の柵のそばにも、同じように事件について掲示しているプレートが設置されているとのこと。
ガイドの先生の説明を聞き終わったところで、そのまま忠孝等路の門で解散となった。
日本統治時代から、戦後、そして現代まで。駆け足だったが、各時代について話を聞くことができたガイドツアーだった。
外に出てくると15時50分ごろになっていた。一部の人たちは、ひきつづき向かいの監察院の見学をされるとのことで道路を渡って行かれたが、私はここで終了。
炎天下の中、1日歩きまわって疲れたけど、すごく楽しかったし、勉強にもなった。また来年以降、全国古蹟日の参観に参加できそうなら、また色々まわってみたい。
普段の土日でも、一般公開しているほかの古跡も出かけてみたいなあ。
観光でいらした皆様も、古跡の旅、おすすめです!!
2025全国古蹟日6古蹟参観記(完)
行政院(MAP)
住所:台北市中正區忠孝東路1段1號
一般参観日:毎週金曜09:00~16:00(要予約・祝日は中止)
行政院建物紹介サイト:https://history.ey.gov.tw/structure/
【予約方法】
・1名から団体予約を受け付け。予約は2日前(同週の水曜日午後5時まで)まで。
・ オンライン予約:予約サイトからオンライン予約。予約完了のお知らせメールが届いた時点で予約完了。
受付:来場者は、身分証明書を持参の上、受付を済ませ、順路に従って参観。(受付場所:天津街2號)
※上記各参観時間は、祝日に当たったときは中止
※参観コースに沿って見学すること。開放エリア以外は立ち入り禁止。
※ランニングシャツ、タンクトップ、スリッパなど、乱れた服装での入館禁止。
※携帯荷物はできるだけ少なくすること。
※喫煙、飲食、ガム咀嚼、ペット、危険物持ち込み禁止。
ここまでの散策ルート(MAP)
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