國立臺灣藝術教育館・南海書院。特殊な和洋中折衷様式の建功神社の面影が残る歴史建築。

2024/07/28

台北市 台湾観光

t f B! P L

台北植物園の隣は文化芸術教育関係の施設が並ぶ「南海学園」とよばれるエリア。

ここには中華風の建物がいくつか並んでいる。

ひとつは南海路に面した「國立歷史博物館」は、今年リニューアルオープンしたばかりの歴史博物館。(見学したので今度また紹介しますね~)

南海路に面したもうひとつの天壇風の建物が「國立臺灣工藝研究發展中心臺北當代工藝設計分館」で、中は工芸センターとレストラン。(写真撮り忘れた)

昨日のブログで紹介した植物園の南海路側の門の隣にたつ建物が「南海劇場」。写真を撮った日はリハーサルを行っており、中にあるという展示室は見学できなかったが、機会があれば見学してみたいと思う。


そして、南海劇場の先の水連の池の奥にたつのが、本日紹介する「國立臺灣藝術教育館・南海書院」だ。




ここはもう何度も前を通ったことがあるけれど、実は中を見学したことは一度もなかった。

なんとなく、建物の雰囲気から一般人は見学不可の学校みたいなイメージがあり、中まで入ってみようと思ったことがなかったのね。

今年の蓮のお花見に出かけた時には、ふと思い立って、「一回、門からでも中を覗いてみようか」と門に近づいてみたら、門の受付にいたボランティアぽい人に「見学ですか?」と聞かれ、初めて見学できる施設だと知った次第。

しかも無料で見学できるというので、時間もあるしと門をくぐり、中に入ったがぁこさん。

「!」


そこには。

池の向こうに佇む美麗建築が……!!

池を囲むようにロの字で建物がつながっており、門の左右の建物は展示室になっていた。


右側の建物を抜けて池の奥の美麗建築へ入館すると、そこは壮麗なエントランスホール。

外から見るとすごい中華風の建物だったが、中はどちらかというと西洋風。

中央のホールの吹き抜け、その天井にはステンドグラス?の装飾、漆喰の装飾……。


なんだか国立台湾博物館のエントランスホールにも通じる風格もある。

もしかすると同年代、日本統治時代の建物の転用とかなのかしら。

もとは何の建物なの??

こちらの建物の入口にもボランティアと思われる受付の方がいらして、説明によると、ここは絵画の展示を行っている展示館で、この日は世界の子供の絵画を展示中とのこと。

子供の絵を展示するにしては立派すぎる建物ではないだろうか。

などと思いながら入口左手奥の小さい展示室を覗いてみると、何やら古い写真が多数飾ってあり、なんとここは、日本統治時代に建立された「建功神社」の建物だったという。


なんてこと!!

「建功神社」、私も名前は知っていた。

そして、植物園のそばにあったことも知っていた。

そして、わたしは、いまのいままで、「建功神社」はあの天壇風の建物の場所にあったのだとばかり思いこんでいたのだ……!

そうなのか、ここが「建功神社」なのか……!

建功神社は、1928年(昭和3年)に、台湾総督府が国家のために殉難した人の霊を祭るために建てた神社で、日本人、台湾人ともに祀っていたという。

設計は台湾総督府営繕課技師の井手薫。和洋中折衷のモダンな神社は、当時としては超絶斬新かつエキセントリックな建物として相当な争議が巻き起こったと伝わる。

帰宅してからWikipedia先生の資料を見ると、先ほどの水連の池の手前あたりが鳥居があった場所で、睡蓮の池にかかる橋が神橋、今いる展示館の前にある小さい池が神池、池の左右が東西の参集所で、さっきのエントランス部分が向拝、ホールが拝殿、その奥が本殿にあたり、古い写真が展示してある小さい展示室は倉庫だったらしい。


建物の由来を説明する展示には、建物の新旧の写真や説明文で、変化がよくわかるようになっていた。

戦後に国民党が台湾にやってきて、国民政府が日本の神社をことごとく破壊する中で、この建物がここまで残っているのは奇跡に近い。

それは、伝統的な神社建築から逸脱した和洋中折衷の建物が神社らしくなかったことも大きいだろう。

1954年に国民政府が南海学園を計画し、1955年には外観が中国宮廷様式に衣替えされているが、それでも建物の持つ美しさはあちこちに残っている。

この展示室の展示を見てからホールに戻ると、先ほどとはまた違った景色が見えてくる。


ホール左右の絵画の展示室は控室だった空間で、ホール中央正面の展示室は1階と2階もふくめ、もとは神社の本殿だったところ。

当時の本殿は檜造りの和風建築だったという。

また、ホールの上部はドームだったものが、戦後は中国天壇風の屋根に吹き替えられている。

ホール上部のステンドグラス的な装飾の中央に描かれたロゴは、中華民国のロゴかと思ったが、帰宅してから調べたところ、太陽の光の部分が円の縁についているので、あれは中国国民党のロゴだということが分かった。当時の世相を感じる。


ホールを囲むアーチには、神社の正面にも刻まれていた三つの円が並んでいるが、円の中には梅の花が付け加えられている。この改修は中山堂で見た菊の御紋を梅の花に置き換えた改修と同じ流れで、これまた当時の世相を感じる。


建設当時の面影が少し残っているだけでも、こんなに壮麗な雰囲気なのだから、元はもっと荘厳な建物だったのだろうと想像する。

さて、展示も見て回ることにしよう。

この日の展覧会は、世界の子供たちが描いた絵画展。

どんなカテゴリーの子供かとかは細かい説明を読んでないので分からないが、絵を見てるとだいたい小学生から中学生くらいの子供の絵の様子。


子供の絵だからと侮るなかれ、ダイナミックな構図の絵、大胆な配色のカラフルな絵、繊細なタッチの絵など、舌を巻くほど上手い絵がゴロゴロあって、思いのほか見ごたえのある展覧会だった。


いままでここを参観したことがないのが悔やまれるわ。こんな素敵な展覧会をやっていたのね。しかも入館無料だなんて。

歴史に興味がある人も、美術に興味がある人も、ただ休憩したいだけの人も、誰もが楽しめる展示館だった。

観光客の皆さんにも、台北植物園と併せて、是非立ち寄ってみてほしい。


国立台湾芸術教育館
住所:台北市中正區南海路47號
時間:09:00~17:00
入館無料
https://maps.app.goo.gl/CR713ZQmj8B2RSZP8


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日本産がぁこの台湾日記。台湾が好き。 やって来た来た、いとしくて、こいしい、台湾。 勉強して、食べて、遊んで、旅して。勢いだけで、突っ走る元OL留学生、今日も台湾をゆく。2011年台湾の大学の学士課程に留学、2017年台湾の大学の修士課程卒業、台湾で社会復帰。2024年4月よりBloggerでブログ開設。 旧ブログはこちら↓ https://taiwanitoshikoishi.localinfo.jp/

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