中正公園で休憩している間に、気が付けば太陽は西側の山の向こうに消えていた。
時刻は18時過ぎ。そろそろ「主普壇」の前に戻るとしよう。
帰りは下り坂なのでサクサク歩ける。さっきのロータリーに戻ってくると、ランタン風のゲートに灯りがついていて、奥に明かりが灯り始めた「主普壇」が見えた。
先ほどは右手に見える橋を渡ってきたが、今は下り坂なので、このまま直進する。
坂の下に下りると、道の両側に客家紙傘、頭上にLEDライトのアートなトンネルが出迎えてくれた。綺麗だねえ。
光のトンネルを抜けると、「主普壇」の前に到着。夕焼け空に華麗な装飾が映えてる!
ここでもう一度、「雞籠中元祭」についておさらいしておこう。
台湾では旧暦の7月は「鬼月」といって、あの世からご先祖様や無縁仏やその他の霊があの世からこの世に帰ってくる月となっている。この期間は、飲み物や食べ物を祭壇に備えて霊をおもてなしする「普渡」という儀式が街のあちこちで行われる。
なかでも旧暦7月の1か月間にわたって基隆で開催される「雞籠中元祭」はとくに有名だ。とくに、中元節(旧暦7月15日)には、「中元普渡」の儀式をはじめ、燈篭パレードや燈篭流しなどの行事が行われ、台湾内外から観光客がたくさん訪れる。
「雞籠中元祭」は清代から続く宗教行事。清の時代、大陸から渡ってきた福建省の漳州人と泉州安渓人は常にいさかいを起こし、多くの死傷者が出ていたため、双方の長老が話し合い、「老大公廟」を設立して死者を共に弔った。その後、地元の宗親会が交代で「雞籠中元祭」の供養の儀式を執り行ってきた。非常に歴史のある重要な民俗行事なのだ。
ここ「主普壇」は、本日、中元節(旧暦7月15日)に「中元普渡」が行われる祭場。
建設は1976年。中国古楼風の建物で、3つの塔が並んでいる。普段は、この1階にある「中元祭祀文物館」で「雞籠中元祭」で使用される祭具などの展示を見学できるそう。もちろん、今日は閉館している。
主普壇の前には赤い布が掛けられた長テーブルがいくつも並べられが供物台が用意されていた。
供物台の上には、いろいろな料理やお菓子、果物、飲み物などのお供え物がずらり。
なかには食品模型みたいなもの、鳥や動物、昆虫の模型みたいなのもあるのが不思議だった。
帰宅してから調べたところによると、この模型みたいなのは「看桌米雕」というもので、小麦粉をこねた生地でできているんだそう。けっこうリアルで、昆虫とか特にビビるくらい精巧な出来でした。
写真には撮ってないけど、供物台の前には大きな豚さんの開きが二体並べてあった。酷暑だったため、豚さんを覆うように大きな氷袋がかぶせてあったけど、あれが無かったら多分けっこう衝撃的なお姿だったはず。合掌。
供物台の間は自由に歩くことができて、主催されてる地元の方々に交じって、我々観光客も歩き回ってお供えの様子を見学することができた。
ライトアップされている主普壇は、建物本体の塔にも電飾が設置されているけど、煌びやかさを演出している主力は、中元節の儀式のために建物本体前に設置された祭壇などの装飾用の建物だ。
この建物は2階建てで、1階と2階のあちこちに、たぶん劇の一幕を再現した人形のお立ち台みたいなのが設置されていた。たぶん、この世にやってきた霊に楽しんでもらうためだと思う。これも、おもてなし。
中元普渡の儀式は19時からとパンフレットに書いてあったが、18時過ぎに会場行くと、ときどき、道士と思われる方が祭壇に立ってお経を唱えていらしたので、儀式の時間じゃなくてもご供養があるのだろう。
供物台のお供え物を見て回ったり、祭壇や舞台の様子を眺めたりしていると、空もだんだん夜の色に変わってきた。
19時ごろにはすっかり真っ暗になった。暗闇に浮かび上がる主普壇も綺麗だ。本当に幻想的で美しい光景なので、見飽きることがない。
19時を過ぎると、主催者団体の皆様が祭壇の前に集まって、何かご祈祷が始まった様子だったが、がぁこさんはそろそろ本当に体力がダメそうだったので、帰路につくことにした。
初めて見た「雞籠中元祭」の中元普渡の舞台、本当に綺麗で感動的だった。この光景が見れただけで大満足だ。
2011年に台湾に来て、来ようと思えばどの年だって来ることができたのに、今まで来たことがなかったのが悔やまれる。また日程と天気のタイミングが良かったら、ぜひ見に来たい。
観光客のみなさんも、旧暦7月15日に台北近郊に滞在する予定があったら、ぜひ見に来てほしい。超おすすめの伝統行事です!
中元節に「2025雞籠中元祭」の基隆へ⑦につづく~
主普壇(MAP)
住所:基隆市中正區壽山路
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