次にやってきたのは「北投温泉博物館」。
博物館の解説によると、「北投温泉博物館」の前身は、1913年(大正2年)に当時の台北庁長井村大吉の発案で開設された「北投温泉公共浴場」。
寡聞にして知らなかったのだが、建物の設計は、なんとあの、台湾総督府や台南州庁など、台湾で数多くの官庁建築を手がけた台湾総督府の建築家・森山松之助氏が担当したのだとか!
これは今回初めて知って、一番驚いたことだった。なるほど、2階は木造、1階はレンガ造りの和洋折衷で品格のある佇まいは、森山氏が。さすがだわ。
戦後は紆余曲折を経て、最終的には放置され、時は流れて1994年に北投小学校の教師と児童たちにより公共浴場が発見されたことをきっかけに保存運動がおこり、1997年に台北市の市定古跡に指定されると、翌1998年には「北投温泉博物館」が設立された。
現在は入浴はできないが、北投の温泉や歴史、温泉にまつわる文化を紹介する博物館として、北投を代表する観光スポットの一つになっている。
がぁこさん、ここに来るのも数年ぶり。
中山路に面した正面入口は、建物の2階部分に当たる。まずは入り口で靴を脱いで下駄箱のスリッパと履き替える。
順路の表示に従って玄関ホールから中に入ると、目の前は奥の畳の広間とテラス。昔の人は湯上りにここで涼んだりしたんだろうな。
畳の広間を右手に見ながら奥に進むと、小さなミュージアムショップ的売店があり、さらにその奥には展示室になっていた。
展示室から出てきて広間わきの階段から1階に下りると、男湯と女湯の暖簾がかけられた入口が登場。これは前回(いつか忘れたが)来た時にはなかったように思う。
暖簾をくぐって中に入ると、そこは洗い場や小型の浴槽が並ぶ、レトロ可愛い、すごく素敵な浴場!
こんな素敵な浴場が公共の施設だったなんて。一流旅館かお貴族様の別荘の浴室みたいではありませんか。
この浴場を出て、先ほどの畳の大広間の真下に当たる部分に来ると、こちらは大浴場。見よ、この圧倒的素敵空間!
回廊に囲まれた室内プールのように広い浴槽に張ってあるのはお湯かしら。見たところ、結構深さがある。
先ほどの小さい浴場に展示してあった古い写真を見ると、この大浴場は立って入るスタイルだった模様。立ってお湯につかるの気持ちよさそう。いいなあ。
向かいに移動すると、元は洗い場だったところに巨大な北投石が展示してあった。北投石は天然記念物となっており、現在では採掘不可なのでこんなに大きなものは本当に貴重らしい。
ここから振り返ってみた浴槽も素敵。いやほんと、こんなお風呂入れるなら入ってみたいわ!!
ステンドグラスで装飾されている回廊の窓も見どころだ。
富士山や白鳥など、窓によって図案も違っているので、見ていて楽しい。そして美しくて、ほうっとため息が出る。
ここから駅前までは、博物館のある北投公園の中を歩いていく。正面入口そばの階段で公園に下りると、博物館の建物全体が良く見える。2階が木造で、1階が赤レンガ造りの構造がよく分かるね。
駅方面に振り返ると、左前方に木を組み合わせた船のような外観の建物が目に入る。これは台北市図書館の北投分館。非常にお洒落でモダンだわね。
公園内を流れる渓流には地熱谷から湧き出した温泉が流れている。日本統治時代には、公園の中の瀧ごとに公共浴場が設けられていたんだそう。
あと、見どころとしては、公園内の渓流にかかる橋や一部の建造物は日本統治時代のものがそのまま使われているんですって。
温泉博物館で歴史にふれた後に歩くと、何気ない風景の中に歴史が感じられて、散歩がより趣深いものになる。
また時間があるときに、もっとゆっくり歩きたいなあ。
と思っているうちに、駅前に戻ってきた。
北投公園を背に右手に向かうとMRT新北投駅だが、ここからは左手の光明路をMRT北投駅方面に歩いていく。
次の目的地は、「北投中継市場」。市場飯ランチをめざして、レッツゴー!
北投散歩⑤につづく~
北投温泉博物館(MAP)
住所:台北市北投區中山路二號
時間:10:00~18:00、月曜休館